「学術の終わりの始まり」を許すな」
<止めよう 日本学術会議の法人化>
2020年に当時の菅首相が学術会議の内部から推薦された候補者を任命しなかった。
これは現在の日本学術法の条文に反している。推薦に基づいて任命すると書いてあります。これは明らかに政府を批判する学者の排除です。当時の下村自民党政調会長は「防衛省の研究を認めないなら行政機関から外れるべきだ」といい、自民党は学術法人化を提言してこの法案のもとになっています。
新法は国の機関である学術会議を特殊法人とするものです。自由度が増すように見えますが、学術会議の活動全般を首相任命の「監事」が監督し、内閣府に設置される「評価委員会」が評価するなど、学術会議を政府の管理・統制下に置くものです。また今は国が負担すると定められている財政も、法人化されれば政府が必要と認める金額しか補助しません。政府を批判するような活動は資金面からも抑えられます。 学術会議は1950年と1967年に「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」と声明がだされています。
しかし今、政権は米国との軍事的一体化を図り、また死の商人国家になるために、英伊との戦闘機共同開発やAIを組み込んだ最先端開発に膨大な予算を投じています。他方で大学の予算を削り、研究費が枯渇する科学者を軍事研究に動員しようとしています。学術会議がなくなれば、個々の大学がどこまで抵抗できるでしようか。
1933年、京都帝国大学の滝川幸辰教授はトルストイの「犯罪は国家の組織が悪いから出る」という言葉を紹介しただけで大学から追放されました(滝川事件)。それを機に大学の自治は破壊され、自由主義的思想や宗教などへ弾圧が広がり、人々は真実を知らされないまま1937年に中国への侵略戦争が始まったのです。学問の統制を突破口に、思想、宗教、表現の自由を奪い、戦争へと突き進んだ歴史から今こそ学ばねばなりません。
この日本学術会議の解体法案に反対し、学者と市民が国会前で「人間の鎖」をつくりました。田中優子さん(元法政大学総長・九条の会世話人)は法案は軍拡に反対する学術つぶしだと指摘。「日本の軍拡、武器輸出に、どう声を上げるのかが問われている。学者だけでなく、国民全体の問題です」と訴え、羽場久美子さん(青山学院大学・名誉教授)は「学問を弾圧するだけでなく、日本の戦争準備と密接につながっている。
ジャーナリストの金平茂紀さんは「ものすごい怒りを覚える。必ず止めるため声をあげよう」と訴えました。
この間、政府は次から次へ悪法をつくり戦争できる準備を進めています。(2013年・特定秘密保護法→
2015年・安保法制→2017年・共謀罪法→2018年・学術会議法(解釈変更)→2020年・学術会議会員任命拒否→2022年・安保3文書→2024年・経済秘密保護法)これらに抗して声を上げていくことを続けていきましょう。
2025.6.1 「岐阜・九条の会」事務局
「通信」担当:吉田千秋(代表世話人)&吉田隆(HP管理責任者)
|
|